三月の潤い

Thursday, March 8th, 2012

潤い初め

うりずん。「潤い初め(うるおいぞめ)」の意。沖縄では、この “うりずん” の季節、若葉が生いしげ、数多な花が咲きはじめます。駆け足の如くその彩りと濃淡を増し、大地を、暮らしを潤してゆきます。夏の大陽も最高だけれど、穏やかなこの季節の沖縄はなによりも美しく輝いています。

http://www.flickr.com/photos/argyle-street/sets/72157629174857030/

03 march, gaucho / apple

Thursday, March 1st, 2012

03 march, gaucho / apple

三月は、GAUCHO。
“ガウチョ” とは、アルゼンチンなど南米の草原地方のカウボーイの意。南米らしい力強い響きのネーミングです。どうりで、荒れ牛が描かれている訳です。無駄を省いた単純なラインで構成された躍動感溢れるそのフォルムはシンプルでとても美しいロゴシンボルです。

上と下の “GAUCHO” の書体は、違いますね。上の Myriad のコンデンスドっぽいのは古いタイプのシールなのかな。下の書体は、Century Gothic や Futura、あるいは Avant Garde Gothic の掛け合わせ(もしくはオリジナル書体)のようですね。いずれにしても、ロゴシンボルに上手に寄り添ったモダンで明快なタイポグラフィです。

最近のフルーツシールには、このシールのような四桁の番号が印刷されていることが多くなっています。(というか、大胆に「数字」と「バーコード」だけなんていうものもありますね) それってデザイン的にどうなの? という声も多く耳にするのですが、暗証番号のように謎めいていて個人的には嫌いではありません。
じゃあ、そもそもこの四桁の番号は何なのか ― もちろん暗証番号なんかではなくて、果物の種類や品種、そのサイズ等を示しているものなんですね。Price-Look Up codes、略して “PLU” と呼ばれているようです。流通の効率的な販売管理を目的にしているのでしょう。
例えば、この二種の “GAUCHO” 。「4016」は、Apple の Red Delicious 種で Large サイズ、「4017」は、Apple の Granny Smith 種の Large サイズ。こんな具合にきっちりと割り振られているのです。興味のあるかたは、ぜひ以下のサイトをどうぞ。番号の謎がすっきり解明です。

http://www.innvista.com/health/foods/plucodes_abc.htm

さて、そういう訳で、Steely Dan の “Gaucho” とその下敷きとなった曲 Keith Jarrett の “Long As You Know You’re Living Yours” を閏日の翌日に聴きながら、三月がスタートです。

World Wide Wonderland Fruit Labels Issue; Cal:2012
03 march, gaucho / apple

ARGYLE SHOP
http://www.argyle-street.com/shop/

ろくなな

Tuesday, February 21st, 2012

market

毎月第二日曜日には西御門の鎌倉宮で骨董市がひらかれている。用があって近くに寄ったものだから、久しぶりにどれどれと覗いてみた。

米国人のおじさん店主がひろげていた日本の古いクラフト群。奇麗に磨かれたモノモノが、リズム良く丁寧にレイアウトされている。品と味があってすべて持って帰りたいと思うほど素晴らしいセットだった。瓢箪好きのぼくとしては、フォルムが大胆な中央の瓢箪水入れが気になったけれど、栓が欠けていたので断念。代わりに、江戸後期のこぶりな蕎麦猪口と(左に映っている)桜の木からくりぬいた無垢の椀を手に入れた。桜椀は節の箇所を生かして友人に削ってもらったものだと言う。まるで秋岡芳夫さんの工房にいるかのようだ。青い目をしたおじさんは、ぼくら日本人以上に日本の良いモノを見分ける良い目を持っている。

ぼくが肩からぶら下げていたペンタックス67を見つけるやいなや、おじさんは「ろくなな、いいね。懐かしいなあ」と感慨深く(流暢な日本語で)呟いた。そこから、長く続く青空写真談義がスタートしたのだけれど、聞くと、かつてプロフェッショナルとして写真を撮っていたと云う。ずっと、ペンタの “ろくなな” を愛用していたんだ、と。 “ろくなな” の話からポラロイド、銀座のレモン社、新宿のマップなどなどディープな中古カメラ店の話題へ… 話は尽きず、いやいや愉しかった。

米国人が、67を “ろくなな” と言うのには違和感があったけれど、それは心地の良い違和感。ペンタの67は “ろくなな” で正しい。去り際にポートレイトを一枚撮らせてもらった。西日を受けたおじさんの優しい表情を収めた。三月の第二日曜日に “ろくなな” のカラープリントを持っていくつもりだ。

02 february, expofrut / banana

Thursday, February 2nd, 2012

02 february, expofrut / banana

 さあて、二月はフルーツシールの “王道” をひた走るバナナから「EXPOFRUT」の出番です。色光の三原色 RGB が、黄色地にくっきりと浮かび上がります。
 フルーツシール愛好家の鑑賞のポイントのひとつとして、これまた “王道” を行くのがシルクスクリーン印刷の「版ズレ」です。このシールは、見事なまで気持ちよくずれている。華麗なる乗算加減と言えるでしょう。版ズレによって地の白(インクがのらなかった部分)が、表出しているものも個人的な好みです。このデザインをしたデザイナー(きっといるのでしょう)にとってみれば、ハプニング的な印刷のズレなど、きっと考慮に入れていないはずですから、こんな風に地球の裏側で版ズレの美を語られること自体、はなはだ迷惑な話だと思います。でも、やっぱり美しいものは美しい。制御できないこの愉快で自由な、 “デザイナーにとっての” 不慮の事故は、この小さなキャンバスに濃淡と奥行きとゆるさをドラマティックに生み落とします。ぼくらにとってのハッピー・ハプニング。
 とりわけ、ここでぼくの眼をひくのが「EXPOFRUT」の下の「FRUTAS CON SABOR A FRUTAS」のタイポグラフ。なんのことはないボールドなサンセリフだけれど(これは素直にヘルヴェチカかな?)、上下の書体とちょっと趣を異にしています。このあたりの書体のセレクト、扱いは、アルファベット・ネイティブはさすがに上手いなあと、つくずく感心してしまうのです。ぼくにとってみればある種の魔法です。さあ、よく目を凝らしてその違いを観てみてください(「EXPOFRUT」もちょっとだけギュッと感があるかな)。やっぱり、細部にこそ美は宿っています。

World Wide Wonderland Fruit Labels Issue; Cal:2012
02 february, expofrut / banana

ARGYLE SHOP
www.argyle-street.com/shop/2011/12/17/fruit-labels-cal2012/

untitled

Tuesday, January 24th, 2012

平成二十四年、元旦のお不動さん。険しい怒りの表情に対面し、背筋がすこし伸びる。あたらしい年の初めての写真。真っ白な鏡餅、それを供えるための真っ白な半紙に手の痕跡とささやかな気持ちが見えた。