market

毎月第二日曜日には西御門の鎌倉宮で骨董市がひらかれている。用があって近くに寄ったものだから、久しぶりにどれどれと覗いてみた。

米国人のおじさん店主がひろげていた日本の古いクラフト群。奇麗に磨かれたモノモノが、リズム良く丁寧にレイアウトされている。品と味があってすべて持って帰りたいと思うほど素晴らしいセットだった。瓢箪好きのぼくとしては、フォルムが大胆な中央の瓢箪水入れが気になったけれど、栓が欠けていたので断念。代わりに、江戸後期のこぶりな蕎麦猪口と(左に映っている)桜の木からくりぬいた無垢の椀を手に入れた。桜椀は節の箇所を生かして友人に削ってもらったものだと言う。まるで秋岡芳夫さんの工房にいるかのようだ。青い目をしたおじさんは、ぼくら日本人以上に日本の良いモノを見分ける良い目を持っている。

ぼくが肩からぶら下げていたペンタックス67を見つけるやいなや、おじさんは「ろくなな、いいね。懐かしいなあ」と感慨深く(流暢な日本語で)呟いた。そこから、長く続く青空写真談義がスタートしたのだけれど、聞くと、かつてプロフェッショナルとして写真を撮っていたと云う。ずっと、ペンタの “ろくなな” を愛用していたんだ、と。 “ろくなな” の話からポラロイド、銀座のレモン社、新宿のマップなどなどディープな中古カメラ店の話題へ… 話は尽きず、いやいや愉しかった。

米国人が、67を “ろくなな” と言うのには違和感があったけれど、それは心地の良い違和感。ペンタの67は “ろくなな” で正しい。去り際にポートレイトを一枚撮らせてもらった。西日を受けたおじさんの優しい表情を収めた。三月の第二日曜日に “ろくなな” のカラープリントを持っていくつもりだ。